注射がめちゃくちゃ怖い息子に「もう大丈夫やわ」と言わせた方法

我が家のセンシティブボーイほっしゃんを病院に連れて行くということは、本当に毎回一大事です。

そんなほっしゃんをひと月ほど前、アトピーのお薬をもらうために病院へ連れて行きました。そしたら先生が、「次来た時は一回血液検査させてください。」と。「・・・・」私絶句。勇気を振り絞って、「先生…うまく注射できたとしても、もうその後、連れてくることが出来なくなってしまうかももしれないです…」と伝えました。先生、そうか~と一瞬聞いてはくださったんですが、「でも一回血液検査してしっかり治療方針たてましょう」と。…わかるんですよ、頭では。でも、それはもうトラウマ級の事態になることしか想像できません。「せめて指先にチクッって針さして少量取るやつにしてもらえますか?」としつこくお願いしましたが、「あれでは十分な血の量がとれないんや…。一度しっかり検査して、ちゃんと方針たてたいんです」と。…わかるんです。わかるんです。全然変なこと言われてない事。とりあえず「わかりました。また来れる日がわかったら予約します」と帰途につきました。

当日のほっしゃんの号泣と、暴れて抵抗する姿と、それを数人の大人が押さえつける姿と、「マミー――!!!助けてーーー!!!」というほっしゃんの腹の底からの叫びと、そしてその後何時間も何時間も泣き続けるほっしゃんの姿と、そういう全てのことで心にトラウマをおわないかという心配とが頭を駆け巡り始めました。

あー気が重い…。

なかなか注射の予約を入れられない母

「一ヶ月後くらいで都合の良い日に予約入れてください~」との指示を受けました。しかも、ほっしゃんが、特性から相当反応するであろうことを察した先生の指示で、通常の診察時間より前に来てほしいと言われました。

約一ヶ月が経ち、そろそろ予約を入れていかないと…という頃になりました。

でも、予約の電話が出来ない。ほっしゃんの苦しむ姿を想像したら、「本当にその血液検査いるんか?」「今すぐ知らないとあかんことなんてないんちゃうかな?」「アトピーやアレルギーなんて、知ったところで、すぐ解決策があるわけじゃなさそうやし…」「あと一年後くらいにしたら、今よりは注射が楽になってるかもしれないんちゃうかな?」と自問自答が続く日々。友人数人にその気持ちをこぼしてみたら、意外や意外。「そんなおもいして、その血液検査しなあかんの?いらんのちゃう?」と言う人の方が多かったんです。「やっぱりそうか。そやんな。やっぱり行かんとこかな」と思い始めていました。

そんな頃、ほっしゃんの目のまわりの肌が急に真っ赤に。かゆいみたいでよくこすっています。アトピーのせいか、花粉症もあるのか、PM2.5なのか…。病院からもらっている保湿やら薬やら塗ってみても改善の兆しがない。毎日見た目もかゆさもつらそうな姿を見ていると、やっぱり血液検査をするべきじゃないか…と気持ちが湧いてきました。やっぱり行こう!ちゃんと治療方針を立てるべきや!と心を決め、やっとやっと予約を取りました。

魔法なんてない。祈るしかないからひたすら祈ろう

予約をとったはいいけれど、もう私の気持ちがどんより。どうやったら、少しでも少しでもほっしゃんの心の傷が少なく済むだろうか…。でもそれをどんだけ考えたところで、魔法みたいな方法なんてないんですよね。ただほっしゃんを抑えつけて、注射をし、終わったあとに、せめておもちゃかなにかご褒美をあげるぐらいのことしかできない。

そして物理的な問題。その間てんちゃんをどうするか問題。てんちゃんだってまだ3歳で、私から離れて、待合でまっといてねっていって待ってくれるわけがない。ほっしゃんが、羽交い絞めにあってるのを見たら、号泣するのは間違いない。ひとりで号泣するふたりの対応に追われるのが目に見える。

あー気が重い。もう前日から、ひたすら祈りました。「イエス様、明日ほっしゃんが苦しみませんように。どうかどうかほっしゃんを強めてください。そして(ひとりでふたりを見ないといけないので)全てをスムーズに乗り越えられるように助けてください。」

当日は仕事に行って、いつもより少し早めに保育園でふたりをピックアップし、そのまま病院へ行くという流れ。仕事しながらも、気が重すぎて、ひたすら祈り続けました。

咄嗟に思いついた母の最後のあがき

病院へ着きました。車を停めようとすると、ほっしゃんが、「マミー何してるの?どこ行くの?」と。

私「今日ほっしゃんの病院いかなあかんねん。かゆいからお薬もらわないとあかんから。」
ほっしゃん「(すでに声が震え始め)病院嫌や~。お薬もらうだけ?今日、注射ある?

注射なんてそんなにしないのに、この勘のするどさにびっくり。ここで「うん、あるねん」なんていったら、もうパニックが始まって、病院へ連れていけなくなります。特に今日はてんちゃんもいるから、ひとりで暴れる二人を抱えることはできないので、今ばらすわけにはいきません。でも、愛する息子に嘘なんてつけない

咄嗟に思い付き答えました。

私「えーどうやろ。マミーも今日何しはるかわからんねん。お薬ほしいだけなんやけどなぁ。」
ほっしゃん「嫌や(泣き声)」

間髪入れず、続けました。

私「あっ!!!!そういやマミーさ、今日めっっっっちゃすごい話聞いてん!!!

泣き始めてパニックの入り口にさしかかっていたほっしゃんも、ピタッとなきやみ、こっちを見ました。もちろんてんちゃんも、

私「あんな、今日注射があるかはしらんけどな、そんなことより、マミーな、今日、世界で一番注射を楽に受ける方法っていうのを教えてもらってん!!!今度ないつか注射を受けるときのためによーきいときや。(ここでほっしゃんに話しかけたら、勘の鋭いほっしゃんは、今日注射があるとわかってパニックに入るので、あえててんちゃんの方を向いて話しました。)てんちゃん!よーきいときや!」

てんちゃん「(めちゃくちゃ目を見開いて)うん!」
(横目でちらっとほっしゃんを確認したら、ほっしゃんも真剣に聞いています)

私「あんな、注射ってな、実はな、めっちゃくちゃ一瞬やねん。チクッ!はい、おわり~~~!!(←ほんまどこの芸人?!ばりに、リアクションも抑揚も最大に説明)めっちゃくちゃ一瞬やで、チクッ!はい、終わり~~~。えーー?!もう終わり?みたいな一瞬やねん。」

(ふたり、この時点でケラケラ笑いだしました)

私「でもな、注射ってなんとなくこわいから暴れてしまったりするやん。でもな暴れたら、時間がながくかかってしまうねん。だからな、いちばーーーん楽にするためには、じーーーーーーーってしとくねん(←この時も、変顔して、じーーーーーっとしてみました。ふたりはケラケラ大笑い)。ぜーーーったいうごかへんねん。」

私「ほんでな、誕生日ケーキのろうそくふくやろ?あれみたいに、ふーーーってろうそく吹く真似すんねん。(←いわゆる呼吸法。呼吸を深くすることで、全身の力を抜き、副交感神経を働かせることで、リラックスモードにもっていきます。心理士として普段患者さんに伝えていることを、幼児バージョンに♪)じーーーーーってして、ケーキふ~~~~っ。わかった?覚えておきな。そしたらな、注射ってめっっちゃくちゃ楽で、一瞬で終わるんやって。チクッ!!ほんまに一瞬だけ痛いけど、もうすぐ、あれ?もうおわった?ってなるんやって!マミーもつぎは絶対そうするわ~~」

この漫談を手早く終えて、間髪入れず、病院内へ移動しました。とにかく、ほっしゃんに考える隙を与えない。

4歳繊細ボーイ、注射頑張りました

ほっしゃんが呼ばれ、ベッドに寝るように言われました。採決をする看護師さんは、もうほっしゃんは注射受けるものと知っているかのように、優しく話し始めはりました。「こわいな~。でもすぐ終わるからな。まだ何もしないしね」

ほっしゃんの嗚咽級の号泣が始まりました。でもほっしゃん、いつもなら、この時点で逃げ回ろうとするのに、号泣嗚咽に雄たけびしながらも、ベッドに横たわりました。「嫌や~!!!!」って雄たけびだけど、逃げず、キックせず。もうそんなほっしゃんを見てて目頭があつくなりました。

そしたらほっしゃん「まぶしーよー(涙)」
感覚過敏でまぶしいのが苦手なほっしゃん。天井の電気がまぶしくてそれもつらかったみたいです。さっと、ハンドタオルをほっしゃんの顔にかけました。「ほっしゃん、このタオルかけとき。大丈夫よ。勝手に何もしはーらへんからね。」

そこで私は部屋を出さされました。「お母さんがいたらもっと甘えはるし」と。ほっしゃんの姿は見えないけれど、声はすべて聞こえるところにいかされました。そして去りたくなさそうな顔をした私に、看護師さんが仰いました。「大丈夫よ。みんな泣かはるから」

大っ嫌いな一言。「みんな泣かはるから。」慰めるためにいってくれたはるのはわかるのに、「みんな泣くから」って言われたら、いつも腹立ってしまう。
「みんな泣く」というレベルの泣き方に見えますか?って。
「みんな泣く」っていうレベルの泣き方やったら、こんなひと月も悩まないし、こんなに気持ちがどんよりしたりしない。
初めててんちゃんを注射に連れて行ったとき、衝撃でした。泣いたけど、それだけやったから。注射されて、大泣きして、部屋でて、ジュースあげたら、泣きやんでたから。

とにもかくにも、私は、おもちゃで遊ばせていたてんちゃんの下へ。ほっしゃんの「ギャー――――――――!!」という雄たけびが聞こえてきて、てんちゃんが号泣し始めました。「ほっしゃんが注射されてる!!!なんでほっしゃんに注射しはるん?!(号泣)ほっしゃんに注射してほしくない!!(号泣)」
そしておもちゃを投げ捨て、ほっしゃんを助けようと、ほっしゃんがいるところへ走り出しました。もちろん制止しましたが、てんちゃんの熱い兄弟愛に泣けました。

そしたらほっしゃんが注射を終えて、泣きながら走ってきました。

抱きしめて、「ほっしゃん、よー頑張ったな。よー頑張ったな。痛かったな」

ほっしゃん「痛かったよーー(涙)嫌やったよーーー(涙)ギャー―――(号泣)」

そこから1分程大声で泣き続けました。あれ?いつもと様子が違う。まだ1分くらいしかたってないのに、なんか少しずつ泣き止み始めてる。え????

私「ほっしゃん、どうやった?」

ほっしゃん「一瞬痛かったけど大丈夫。めちゃくちゃ泣くだけにして、ちゃんとじっとしててん。

ほっしゃん…。あの私の即興漫談アドバイスをちゃんと聞いて、実行したんや…
涙があふれそうになりました。

私「ほっしゃん、えらいえらい。えらいなー。世界一楽な方法ちゃんとできたんや。ほっしゃんは強い!えらい!」

ほっしゃん「でもな~ろうそくふーってふくのは忘れてたわ~~♪」

私「そんなんいいねんいいねん。忘れてもちゃんとできたんやからもっとすごいわ!」

ほっしゃん「ほっしゃん、注射痛いけど、もう大丈夫やわ。

病院でお会計をすませて出る時に、ほっしゃんが泣きやんでいるなんて初めてでした。こんなにスムーズに行けるとは。神様が助けてくれた。感謝で胸がいっぱいでした。

ご褒美に、ずっとずっと連れてってと言われてるけど断り続けていた、ショッピングモール内のゲームコーナーへ連れて行ってあげました。ダディも帰ってこないワンオペの夜だったので、3人で、ゲームコーナーで長いこと魚釣りしまくりました(笑)

ほっしゃんの成長を感じ、そしててんちゃんの熱い兄弟愛に感動し、魚釣りまくって大笑いし、結果的に最高の一日でした。


コメント

  1. といとい より:

    爆泣き。もうなわたしはいうよ。手前味噌っていう日本語が大っ嫌い!!大切な家族を一倍大切な家族を褒めて何がわるき!!
    あんた天才やわ!!母親の鏡!!
    ほっしゃんとてんちゃんは世界一の幸せ者やわ。お母さんがあんたやねんろ。幸せやわ。

    • 心理士ママ Wawa より:

      ありがとう(泣)私も色々日々失敗してるけど、そういってもらえると救われるわ。ありがとう。

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