先日、ほっしゃんの保育園で音楽祭がありました。舞台の上で、歌と合奏の発表をする日です。しかも園ではなく、地域の大きめのホールでの開催。こんな経験、ほっしゃんにとってはうまれてはじめてです。
こんなコロナ禍で、開催できるのだろうか、出来たとしても、ちゃんと元気に参加できるかな…など不安は尽きませんでしたが、無事開催され、参加もでき、感謝感動の一日でした。こんな中、開催にこぎつけてくださった先生方にはただただ感謝です。
実は、コロナの状況以外にも、もうひとつ不安要素がありました。
「不織布マスクをして集合場所に来てください」
音楽祭一週間程前に、保育園から配布されたお便りに、こんな一行が。
「音楽祭の日は、不織布マスクをして集合場所に来てください。」
えっ…。
絶句したのは、ほっしゃんがマスクを着けられないからです。
(詳細は、「2/6のブログ」に書きましたので、ご興味のある方はぜひそちらも読んでください。)
ほっしゃんに聞いてみました。「ほっしゃん、音楽祭の日、マスクをつけましょうって先生言ったはるけど着けれる?歌うときはいらないよ。歌うとき以外だけつけましょうって言ったはるけど着けれるかなぁ?」
ほっしゃん、みるみる不安な顔になり、号泣。「マスクできひん。嫌や~」
そうやんな…。今まで何度も挑戦してできなかったのに、音楽祭やからって出来ないよな。
「じゃ、先生に聞いてみようか?マスクするのしんどいこと言ってもいい?」
「うん。先生に言ってほしい。」
「着けましょう」ではなく「着けられる人は着けましょう」に
翌日の連絡帳で伝えました。
ほっしゃんは、感覚過敏でマスクを着けられないこと。今まで何度も何度も挑戦してきたが、本人の苦しみが大きすぎて、難しいんだなと理解するに至ったこと。社会情勢上、着けた方がよいことは十分理解しているが、特性や障害のある子達への合理的配慮をしてほしいこと。
そして、私が一番伝えたかったこと…
もし園で、先生が全児童に、「マスクを着けないといけません」と伝えたら、ほっしゃんは着けるかもしれない。でもそれは、「ちゃんと説明したら伝わった。ルール化したらできた」のではないと思うこと。生真面目なほっしゃんは、「先生の指示」として出れば、それは従わなければならないものと理解しているし、従いたいと思っている。でもそれは、多少の不快感はあってもそれほど苦痛を感じずにマスクを出来たわけではなく、感覚過敏ゆえに、著しい苦痛を伴うような苦しみを感じながらつけているのだと思うと。そんな苦しみを背負わせての音楽祭はかわいそうだと思うこと。
もちろん当日の朝、みんながマスクを着けている姿をみて、「みんながしているからしたい!」という気持ちが、マスクの苦しみに勝れば、ぜひつけたらいいと思う。でも、当日の朝、本人に選択肢を与えてやりたいと思うこと。
一律のルールにしてしまうと、マスクをつけられなかった場合、本人が肩身の狭い思いをしなくてはならない。だから、「マスクを着けましょう」ではなく、「マスクを着けられ人は着けましょう」という幅のあるルールにできないか検討してほしいこと。
私、モンスターペアレント? 相当うっとしいクレーマー?と心配しながら、でも、「私が子どもを守らな誰が守る?きっとほっしゃん以外にも、マスクで苦しんでいる子はいるはず。」という思いで相談することにしました。
お迎えの時に、先生が話しかけてくださいました。
結論、「園外に出るので、やはり子どもたちの安全のために、ルールを変更することはできない」と。ただ、まだ幼児なので、マスクをちゃんと着けれず鼻が出てしまう子がいることは当然のことと考えている。なのでマスク出来なくても全然大丈夫です。だから、クラス全体に「マスクを着けてきましょう」というお話をした後に、ほっしゃんには個別で、「マスクできなくても大丈夫だよ」とお話します。他の子達が、なんでほっしゃんマスクしてないの?とつっこんできた場合には、「マスク着けれるように、今頑張ってる途中だからね~」と伝えます。
という回答でした。
本音を言うと、「うーん…そうかぁ…」でした。「マスクをちゃんとつけれず鼻が出てしまう子」と「感覚過敏でマスクを着けれないこと」は、似ても似つかないことだと思うし、「マスクをつけるのがしんどい」ことを、そのまま「世の中にはしんどい人もいるから理解し合おう」と子どもたちに教えるのではなく、「できないから出来るように頑張ってはるよ!」という風に教えること。そのあたりになんとなくひっかかっていました。
でも、そこまで検討してくださったことには心から感謝しました。なので、今回はそれでやってみよう!と心に決め、先生からほっしゃんに個別にお話してもらうことはしっかりお願いし帰宅しました。
音楽祭三日前、ほっしゃんが帰宅するなり言いました。
「マミー!先生がな、みんなはマスクするけど、ほっしゃんは出来なくても大丈夫って言ったはった~~!!」
なんと嬉しそうな声。不安から解放された顔。そこから音楽祭の日をめちゃくちゃ楽しみにまっていました。
園に相談してよかった…と胸をなでおろしました。
音楽祭当日。予測していなかった障壁現れる!
音楽祭当日。念のため5種類のマスクを準備しておいた私。(←つける!となった時に、何が障壁となり、何が助けとなるか予測不能なため 笑)
・布マスク(好きなキャラクター柄)
・布マスク(好きな車の柄)
・不織布マスク(恐竜柄)
・不織布マスク(おさるのジョージ柄)
・不織布マスク(ほっしゃんの好きな動物シールをはりまくり)
「みんなマスクつけてきはると思うけど、ほっしゃんはどうする?どっちでもいいよ。先生も着けれなくても大丈夫だよって言ってはったしね」
ほっしゃん、好きなキャラクター柄の布マスクを選びました!
不織布マスクではないけれどいいよね。先生に会った瞬間、役目を終わったと思ったのか、速攻で外していましたが、よく頑張りました!
さぁいよいよ音楽祭が始まりました。歌2曲と合奏1曲です。
幕が上がりました。ほっしゃん、一列目のど真ん中にいます。
ほっしゃんにとっては初めてみる景色。大きなホールでスポットライトをたくさん浴びながら、たくさんの大人たちに向かって立っています。
あっ!!!やばいっ!!!!
旦那はのんきにほっしゃんに手をふっていましたが、私すぐに気が付きました。
「ほっしゃん、まぶしすぎるんや!」
そう。ほっしゃんは、視覚も感覚過敏があると思います。太陽がまぶしいと、いつもぎゃん泣き。夕日があたる場所で信号が赤になんてなってしまったらもう最悪です。
明らかに目が苦しそうにしています。手で顔を覆いたくて、手をうずうずさせているけど、手を上げずに我慢しています。きっと「手はまっすぐ体の横に!」と教えられているのでしょう。歌が始まりました。家でもなんども大きな声で聞かせてくれた歌です。歌い始めましたが、やばい!ほっしゃん、目が限界にきたんでしょう。両手を上げて、顔を覆いました。ほっしゃん大丈夫かな…。
でも5秒もたたないうちに、手をおろし、また頑張って歌い続けました。目はまぶしそうです。でも指揮者の先生をただひたすら見詰め、スポットライトの方をみないようにして歌い切りました。
もう私は涙です。一生懸命頑張ってるほっしゃんの姿に。
歌2曲が終わり、一旦幕が閉まりました。走っていって抱きしめたい気分。もしくはスポットライトいじって、向き変えたい気分。
次は、合奏です。ほっしゃんはタンブリン担当(←ほっしゃんに、タンバリンって言ったら、違う!!と激怒されました。みなさん気を付けて)です。
ほっしゃん、心折れてないかな…と心配でしたが、次幕が開いたときは、2列目の中央で、しっかりと背筋を伸ばし、タンブリンを構えているほっしゃんがいました。
目も大丈夫そうです。きっと2列目は、角度的にスポットライトがまぶしくなかったのでしょう。救われた―!!
それはそれは上手に、完璧に、タンブリンを叩いていました。0歳の頃からのお友達がみんな大きくなって、みんなしっかり合奏してて、もう号泣でした。
「見えないけれど負荷がかかっている」
音楽祭が終わり、ほっしゃんがかけよってきました。
「マミー!!!まぶしくて歌がちゃんと歌えなかった。」
「そんなことないよ!!!あれはまぶしかったなぁ!まぶしかったのに、ちゃんと指揮者の先生の方向いて、めちゃくちゃ上手に歌ってたやん!!あんなにまぶしいのにすごいわ。マミー感動して泣いたわ」
やっぱりまぶしかったんやね。ほんとによく頑張った。
今日、マスクが大きな障壁だったこと、スポットライトがまぶしくて自分の力を出し切れなかった(と本人が思っている)を改めて考えると、4歳の子が、マスクを着けれなかったり、スポットライトをまぶしいと感じたりは、よくよくありそうな話に聞こえるし、たいしたことのない話に聞こえます。
でも実際、今日不織布マスクをつけていなかったのはおそらくうちの子だけだったし、スポットライトがまぶしくて手で顔を覆ってしまったり、見る角度を変えていたのもうちの子だけでした。
うん。
だから、ほんとによく頑張った!
人の何倍も何十倍も頑張った!ってほめてあげよう。
目に見えない負荷がかかってたこと忘れてないよ。その分、もっともっと褒めてあげよう!
と思った一日でした。
ダディにも見てもらえてよかったね。外人らしく超オーバーリアクションでほめてくれるよ♪
コメント
ダディ特技のオーバーリアクションあって良かったわ。
そうかー光なー、確かにほっしゃん、光あかんなぁ。そやけどさ、その苦しみはあってもこんなにも理解してくれる母がいるほっしゃんは幸せなんちゃうかなと思う。
わたしの我が子に対する理解のなさったら。。戒めたいとおもいます。←デジャブ。
ほんま、ほっしゃんが出てきた時、中腰に立ち上がって手ふったから、その勢いで、「ほっしゃ~ん、ピューー!!」とか指笛でもして、コロナ禍で静かな音楽ホールからつまみ出されるんじゃないかとひやひやしたわ。